朝。


パリの冬、夜明けは遅くて

起きてカーテンをあけてもまだ暗い。

空には薄く雲がかかっていて

いつもどおり

窓から見える、アパルトマンの最上階、

その部屋の灯りだけは

わたしが目覚めるよりも先についている。


まだ空が起きてこないうちは、

時間はわたしのものという気がする。

明るくなれば、

時間はつぎつぎにわたしの今を食い破って、過去にしてゆき

わたしの持ち物はいつまでも、今しかないまま

あっという間に日が落ちる。

そんなふうに月が変わる。年を越える。

今日もがんばる。えいえいお。


***

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