一体全体、どういうおつもりで、
と
東京体育館の屋根にのこる雪を見ておもう。
昨日は風が強くて
ペダルを漕いだら、
頬を、びゅうびゅう冬が掠めていった。
けれども今日は
こんなに晴れて、おひさんが出ているっていうのに
どうして、あの雪は溶けないんだろう。
日陰にかたまった、陰鬱そうな雪ならわかる。
でも、あんなに光を浴びているのに。
雪が降ったのはもう、だいぶ前のことなのに。
思わず立ち止まって、首を傾げずにはいられない。
わたしはといえば、
北風と太陽の旅人のように
着込んだダウンコートを急いで脱いで、
肩から提げたトートバッグに丸めて押し込んだばかりだ。
今日は、いつものカフェラテにたどり着くまでに
ちょっとばかし、手間がかかって
なんやかんやで、
ふくよかなラナンキュラス一束だけを抱えている。
今日はまだ暗いうちから起きて、
まあまあよく、歩いた。
なんだか似たような感じをどこかで。
そう思いながらカフェラテを啜りながら
(今日は陽が昇ってから随分あったかいけれど、やっぱり冬はホットのカフェラテだ)
(今日もムーのパンを買ったぞ)
トコトコ歩いて行くと
ちょうど、カフェラテのSサイズを飲み終わるころ
RAFFINEEのアトリエ、
スカイビルの前に到着する。
ほんと、ちょうど良いんだよね、と頷く。
でもいつかわたしも、と夢が膨らむ。
(それは珈琲も本も、漫画もあるとこなんだ。)
アトリエで、再び作業を終えてふと、
深い海に射す一筋のひかりに気がついて、ぼんやりする。
あ、旅だ、と
鍵をかけるときに思い出した。
パリにいたころ、よく旅をしたけれど
大抵はひとり旅で
なかでも一番の印象に残っているのは
でも、このたったすこしの距離、たったすこしの時間のなかで起こったできごと、
誰も知らず興味も持たないような
カフェで注文をした以外には一言も発することのなかったこの時間の
私のたったひとりの移動と作業も
巡らした想いも、口には出さずに投げかけた問いも
旅なのだ。
想定外のことがおこったり
いつものカフェを楽しみに、ちょっと早足になったり
うとうとして途切れた意識の片端でさえも
ぜんぶが、旅で
なんだか今、それに気がついて
私は再び、ものすごく、人生は愛すべきものだなとおもう。
『5時から7時までのクレオ』みたいに。
ここまで書いて、恐るべきは、
恐るべきは、というよりも、ほぼ確実なのは、
今日の記事、
私のとりたてて大きな出来事もない流れるような小一時間について
世間の誰も興味をもたない文章を書き連ねてしまったという点なのだけれども
私自身、ちょっと申し訳ないな、と思いはじめているので
時間を無駄にした等と怒らずにいていただければ、有難いとおもう。
人生は旅であると同時に、私小説であって
私たちはそれぞれ、
花を愛でたり珈琲を飲んだり無言であれこれ考えたりしながら
ものすごく孤独に、世界とかかわりあっている。
(私はいま、ムーのパンを一刻も早く食べたいのだけれども
昨日母が大量に買ってきてくれたジャムを塗って食べたいけれども
ひとりよりも家族と食べた方が美味しいだろうから
明日の朝食まで待とう。)
とか、考えたりしながら。
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