銀座のメゾン・エルメス8階にて開催されているエキシビション、
にいってきました。
エルメス財団のレジデンス・プログラムに参加した、
若い芸術家たち18名の作品が展示されています。
私は知らなかったのですが、結構グランメゾンではこのような取り組みが多く行われているんだとか。
このプログラムは、エルメスのweb siteによれば
「意欲のある若手アーティストたちに、エルメスの工房が有する高い技術や素材を使って、作品を制作する機会を与えることを目的として」いるとのこと。
(以下、webより引用)
「「アーティスト・イン・レジデンス」に参加した若いアーティストたちは、レジデンス先の工房において、比類なき職人技に触れるとともに、クリスタルや特別な革、銀やシルクのような普段は手の届きにくい素材を使いながら作品を作る機会を得ることになります。彼らにとって、この恵まれた制作環境は、新たな芸術に向けて冒険の扉を開くのです。舞台となるフランスの工房は、財団とともに積極的にプロジェクトに取り組んでいます。職人たちはこのような非日常的なプロジェクトを通じて、自分たちの技術をさらに向上する機会を手にし、工房は新しい世界に触れるチャンスを得ました。
エルメス財団は滞在制作へのサポートだけではなく、そこで生み出されたアート作品を広く紹介してゆくことでも、参加アーティストたちを応援しています。これまでの4年間で制作された16人による作品を、ガエル・シャルボーのキュレーションによって紹介するこの「コンダンサシオン」展は、その試みの一つです。」
私が気になったのは、オリヴァー・ビアー氏の作品と、小平篤乃生氏の作品。
いずれもクリスタルを用いた作品でした。
『沈黙は金』
クリスタルの球の中に埋め込まれた、耳介の小さな骨。
完全な沈黙の中で、意味をなさない小さな骨。
それは村上春樹の小説に出てきた鯨の標本にも似ている。
田舎の博物館でしずかに展示されている鯨の生殖器。
目的を損なわれた、ちいさな、一部。
『アウトサイド・イン』
『サン・ルイのための楽器』
針がクリスタルをチリチリ削ってゆく音が室内に響く。
その音は、自分の中のなにかを削ってゆく音にも聴こえる。
連続する一秒、一秒、一秒ごとに、
わたしのなにかを削りとって、時が動いているような。
砂時計よりももっと、時の核心にちかい。
ときどき、チン、と乾いた音がからだに響く。
会期は6月いっぱいまで。