今日も図書館へ行った。
ちょうど今日が返却期限の本が何冊かあったので、
それらを返したり、延長したりして
また新しく借りたりもした。
図書館の大テーブルに座って、
あれやこれやと6冊ほど積み上げたのを読み終えるあたりで
いつものことではあるけれど、また、ぐうぐうとお腹が鳴りはじめるので
いたたまれなくなって席を立つ。
人の少ないところに移動して、なおも読み進めるうちに
今度は頭痛がしてきたので
これはいよいよまずいと思って、
読み終えていない白洲正子さんについての本を2冊、
借りて帰ることにする。
今日読んだ中で一番おもしろかったのも、
『白洲次郎・正子の夕餉』という
白洲家の長女である牧山桂子さんの本だった。
これは白洲家の食卓を描いた一冊で
料理の写真や盛りつけが再現され、
簡単なレシピと、エピソードも綴られているもの。
「男は卵だけ食べさせておけば、文句を言わないと思いました。」
「少しずつ珍味が残って、喧嘩になりそうなときにつくりました。」
「残り物ですが、うつわに騙されて両親は喜んで飛びつきました。」
などと淡々と語られる、
機智に富んだみじかい一言一言がおもしろく、
古きヨーロッパの香りを感じさせるような料理も
ふろふき大根といった家庭の料理も
すべて美味しそうに見えて、
いきいきとした家族の食卓や生活をすぐ近くに感じる。
(たとえ「未だにこれは美味しくつくれません。」
「○○さんのつくるほうが美味しいと言われるので、つくるたびに憂鬱になります。」
などと書き添えられているものであっても。)
歩いて帰ろうと思っていたけれども頭痛が頭痛がと自分を甘やかし、
バスに乗って家に帰る。
バス停から家までの道に、
トタンづくりの家をみつけて思わず写真に撮る。
わたしの住むのは東京の下町といわれるあたりだけれど、
最近はどの御宅も、
めいめい好きに家を縦にのばしたり、外壁を塗り替えたりしている。
そりゃそうだ。
でも、遥かむかあし行ったきりの銭湯も、
いつかなくなってしまうかもとおもうと、無性に心許ない。
あったところで行きもしないくせに、自分勝手な話だけれど。
そういえば、図書館へ行く途中、
インコの籠をみっつ、軒先に出して飼っている家があった。
インコは寒くないのだろうか。
ひとつの籠に、何羽か一緒に飼われているのもあった。鮮やかな色色だった。
そんなことを思い出しながら、
大好物の炊き込みごはんをもりもり三膳もいただき、やっと頭痛がおさまる。
洗濯物を取り込むとき、
プランターのパンジーが笑っちゃうぐらいに咲き誇っていた。
見下ろすと、庭木たちも、一斉に芽吹いていた。
また頭がずきずきしてしまっては、このあとの事務仕事に差し障るので
珈琲ではなく加賀棒茶を淹れる。
目を閉じて湯気をふうふう吹き、
蒸気で目のまわりをあたためて
それだけでは足らず、飲み終えた湯のみ茶碗を瞼にあてて、
さらにあたためると
凝り固まった視神経の疲れがふわーっと溶けてゆくような気がする。
こんな横着でお行儀の悪いことは、カフェではできない。
だから余計に効くのだというかんじがする。
取り戻そう、自由な視神経。
今日すべき仕事は、あとみっつ。
何もかもが意のままにとはいかないけれど、
総じて、しょうもない人生をおもしろがって暮らしている。
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