腰が痛い、から始まる長いはなし。



ワークショップが一段落したと同時に

腰がびりびり唸りはじめた。

花仕事をしているひとには多い、腰痛もち。

わたしは、それほどひどくはないけれども

やはり、時折、腰が痛い。

そんなわけで、今日は外へ飛び出すこともせずに

家の中で惰眠を貪り(お菓子も貪り)

久しぶりにぐうたらとしている。

オレンジピールチョコや

お気に入りのカフェPretty Thingsの珈琲(ケニヤ産がすきだ)、

部屋でふと見つけた、懐かしい雑誌とともに。

spoon.は、わたしが高校生のときに大好きだった雑誌だ。

発行年を見れば、2004年。

11年前である。

巻末に100%ORANGEが描く、シュールで詩的なまんがもすきで

そういえば、彼らの個展へ恵比寿のちいさなちいさなビルへ出掛けて行ったことがあるのだけれど

そのビルがどこにあるのかを、わたしはもう忘れてしまった。

演劇部の、とても美人の同級生を誘って行ったことだけ、覚えている。

当時中学か高校生だったわたしは今以上に世間知らずで生意気で

おまけに小説家かエッセイストになりたいとおもっていたようで

彼らにメールを送ったことがあるのを覚えている。

自分が大ファンであることと、

そしてわたしがいつか本を出すときには、挿絵や装丁を絶対にお願いしたいのです、というような

現在の彼らの知名度を思えば恥ずかしくて頬が赤くなる、頓珍漢なメールだ。

皆のつかうメールアドレスが@icloud.comや@gmail.comではなかった時代、

確かうちは、so-netだったんじゃないかな。

それでも彼らは、青臭い高校生にむけて

自分が高校生だった頃のエピソードと

その日をたのしみにしています、と優しい未来のお返事をくれたのだ。

うれしかったな。ものすごく。

勿論そんな約束は向こうは覚えていないはずだけれど
(わたしがいうのもちょっと何だけれど、あれから随分有名になった)

いつか、そういうお仕事ができたらいい。

わたしが書くものは勿論、小説ではないだろう、

でも、いつか一緒にそういうお仕事ができたらいいな。

部屋を断捨離したときにspoon.を捨てられなかったのは

明確な理由は特になかったのだけれど、

わたしにとって、それがただの雑誌ではなかったからなのだろう。

11年のときを経ていま、

『冬の北欧』という背表紙のひとことに目がとまり、

本棚から引っ張り出した。

ちょうど、由美先生が書かれた北欧でのバカンスについてのエッセイを読んで

ぼうっとそのときの景色がわたしのなかで広がっていたところだったから。


正解はない、

少なくとも、昔から数学や物理が苦手だったわたしには、

世の中に唯ひとつの正解はないということばかりを

ずっと学んできたように思う。

唯ひとつなのは、主観だけ。

自分の物差しを他人に押しつけてはいけない。

そして

自分の物差しを、うっかり他人の借り物で済ませてしまうような安易な生き方はいやだということ。

曖昧な世界を、自分の感覚で感じて、自分の言葉で語りたいということ。

自分は自分の持ち物でしか勝負できない。

まあ、遁世しているわけでもないので

他人の物差しで自分自身を測られるのは、仕方のないことだけれど

その物差しに自分を当てはめると、なぜだか凹んだところばかりが気にかかるもの。

他人からよく思われたいっていう

根本的な願望の裏返しなのかもしれない。

そんなときに、尊敬する師から

もしかしたら自分よりも、自分を信じてくれているんじゃないかってくらい

愛情に溢れたエールの言葉が届いた。

自分の物差しをもちながらも、

多様な価値を認める。

それはフランスという国がさせたのか、元来のものなのか、わからないけれども

力がみなぎってきた。

わたしも、本当の意味で強く生きたい。

由美先生、どうもありがとうございました。


ちょうど、オーロラのことを考えていたところなの。
オーロラって、ほんとうに存在しているのか、それとも見えているだけなのか、
よくわからないなあ・・・って。
ものごとって、すべて、とてもあいまいなのよね。
でも、だからこそわたし、安心していられるの。
『ムーミン谷の冬』


今日は、おうちでじっとしていたい気分だった。

夜になると、すごく、ルウに会いたくなった。

明日は外へ出掛けよう。


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そろそろお引っ越ししようかとおもいつつ…!